2005年8月 9日

空海の風景

司馬遼太郎の「空海の風景」上下2巻を読み終えた。
司馬さんの凄さを今更ながらに感じた。精力的な取材力と、博識、偏執的な掘り下げである。
遠い時代の(事実も残ってないだろうし、かなり曲げられたであろう)伝説の人の行動を色んな切り口で、今そこにいる人間のように生き生きと描く。
人間空海の面白さは勿論、真言密教や両界曼荼羅などの仏教知識についても、改めて知らなかった情報を沢山得た。

実は、この本は出版されたとき(25年程前)に、学生時代の恩師の勧めで一緒に通った読書会で、私のレポート担当に当たった本であった。しかし、当時全く読めず(理解できず)、本当に参った思い出がある。
今、この年になり、ある思いから読み返してみたが、それなりに年を重ねた事もあり、色んな味わいのある実に深い本であると思った。

空海の多才、異才を描いた伝記、小説、旅行記、空海vs最澄の比較、日本の宗教の原点を描いた学術書etcetc色んな切り口で読める。

空海を一人の人間としてみた場合、ただ感嘆するしかない程の多才振りを改めて感じるが、ミケランジェロにも通じるような、各才能が相乗効果を持ち、各々の「才能」に影響を与え、やる事成す事が全て「超」の付くレベルに高められている。しかも、書き残した物が芸術的にも貴重な作品として評価されているのも共通している。

彼の何が、いつ、どういう意識に於いて、「天才」を形成したのか興味あるところである。

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2005年7月12日

コミュニケーション阻害

柳田邦男の「壊れる日本人」を読んだ。

人間同士や、人間と環境のコミュニケーションに、電子機器が介入すると、深いところで本質的なコミュニケーションはむしろ阻害されるのではないかと言う問題意識である。

PCを駆使するビジネスマンや医師は、交渉相手や患者を直に見ないで、(バーチャルな)PCの画面をじっと見つめる。何か変だ。

<いわゆる、ゲーム脳の問題:脳がダイナミックに成長する幼児期に、毎日テレビゲームに浸っていると、反射的な運動神経やカッとなったりする感情的反応の神経ばかりが発達して、人間として大事な、感情をコントロールする自制心や事態の全体を捉えようとじっくりと考える判断力や創造性に繋がる思考力は発達しないという説。>

仮想現実に支配されているあまり、現実世界の中での本来の自分を組み立てられない。
ケータイ・ネット依存症とでも言うべき、新しい病気か?

最近の若者の言動や、ニュースに頻繁に出てくる小学生の殺人事件等の、今までに無い、若年層の凶悪事件を見るにつけ、本書の論に共感してしまう。
人類は自ら生み出した新しい環境(病原菌?)に暫くは翻弄され、苦労させられるのだろうか?

Posted by hirarin at 23:30 | コメント (0) | トラックバック

2005年1月 1日

陽水の快楽

若者向けに哲学の入門書などを数多く出版している竹田青嗣が、1986年に出版している「陽水の快楽」という本がある。この本を15年程前に読んで、いたく感動し、いろんな人に薦めていたが、本屋に出回っていなくて、絶版になったのかなと思っていた。自分で買ったものもどこかに行って見つからず、悶々としていた。

ところが、この年末に部屋の大掃除をしていた時に、本棚の奥に眠っていたのを偶然見つけた。
この本が好きなのは(だったのは)、〇躾佑箸靴討琉羮緲杰紊鯆謬擇掘▲リジナリティある。個人的にも陽水は稀に見る詩人だと思う。哲学者としての突っ込みがある。ミュージシャンの評論としては他にない切り口である。っ歸弔亮磴い箸の文章で瑞々しさがある等。

是非、お読みいただきたい。もう、売っていないのかな?

Posted by hirarin at 03:50 | コメント (0) | トラックバック